多摩川の石ころ図鑑|河原で見つかる11種類と見分け方

多摩川で見つかる石ころ図鑑

河原を歩いていると、大小さまざまな石が目に入ります。一見どれも同じ「石ころ」に見えますが、よく見ると色や形、手ざわりもそれぞれ違います。

多摩川は、山梨県の山あい(奥多摩)を源流に、都市の間を流れ、東京湾へとそそぐ全長約138kmの川。その長い流れの中で、様々な場所から運ばれてきた石が、河原に集まっています。

多摩川の河原

多摩川の河原。足元に転がる石ころには、地球の歴史がぎゅっと詰まっている

ここでは、

🪨 多摩川で拾える石の種類

🔍 河川敷でできるかんたんな見分け方

🗺 石がどの山や流域から来たのか

を紹介します。足元に転がっている石から、自然の歴史や成り立ちを紐解いていきましょう。

多摩川の石ころ図鑑

多摩川の石ころ

Photo:KATACHI

〜 堆積岩(たいせきがん) 〜
チャート Chert レア度 ★☆☆☆☆
見分けポイント
  • 白・灰色・赤・緑・黒など色が豊富
  • とにかくかたい
  • 表面はツルツル
  • 割れると貝がらのような割れ方をする
チャートの石

Photo:KATACHI

小さな海の生き物(放散虫など)の殻が積み重なってできた石です。色のバリエーションが豊富で、赤・白・緑・黒など様々な色が混ざることも。非常に硬く、火打ち石としても使われてきた歴史があります。

石灰岩 Limestone レア度 ★★★☆☆
見分けポイント
  • 白〜灰色
  • やややわらかい
  • さわると手が粉っぽくなる
  • 貝の化石が入っていることもある
石灰岩の石

Photo:KATACHI

サンゴや貝などの生き物が積み重なってできた石。昔のサンゴ礁のなごりで、多摩川上流の山地には古い時代の海底の地層が残っており、そこから流れてきます。貝の化石が入っていることもあります。

泥岩 Mudstone レア度 ★★☆☆☆
見分けポイント
  • 灰色や白は混ざらずに黒一色
  • やややわらかい
  • ツルツルとザラザラの中間くらいの手ざわり
泥岩の石

Photo:KATACHI

海や湖にたまった細かい泥が、長い時間をかけて固まった石です。比較的やわらかく、川を流れるうちに崩れやすいため、下流ではだんだん小さくなっていきます。

砂岩 Sandstone レア度 ★★☆☆☆
見分けポイント
  • 茶〜灰色
  • やややわらかい
  • ざらざらした手ざわり
  • 砂の粒が見える
砂岩の石

Photo:KATACHI

川や海辺の砂がギュッと固まってできた石。ざらざらした手触りで、よく見ると砂の粒を確認できます。泥岩と似ていますが、粒が大きめです。

レキ岩 Conglomerate レア度 ★★☆☆☆
見分けポイント
  • 茶〜灰色
  • やややわらかい
  • ざらざらした手ざわり
  • 丸い小石(5円玉の穴より大きい)が集まってできている
レキ岩の石

Photo:KATACHI

川や海辺の小石が集まり、固まってできた「石の中に小石が入っている」ユニークな岩石です。よく見ると丸い礫(れき)がはっきり確認できます。

〜 変成岩(へんせいがん) 〜
ホルンフェルス Hornfels レア度 ★★★☆☆
見分けポイント
  • 黄土色〜黒色
  • とてもかたく、重い
  • 割ると表面がとがる
ホルンフェルス① ホルンフェルス②

Photo:KATACHI

砂岩や泥岩がマグマの熱で焼かれ、カチカチになった岩石です。「マグマの熱で焼かれた岩」と覚えると忘れません。非常に硬く重いのが特徴で、下流でも比較的見つけやすい石です。

緑色岩 Greenstone レア度 ★★★☆☆
見分けポイント
  • 水に濡らすと鮮やかな緑〜暗い深緑色
  • 地殻変動による強い熱・圧力で変質した石
緑色岩① 緑色岩②

Photo:KATACHI

地下深くでできた石が、強い力(熱や圧力:地殻変動)を受けてリメイクされた岩石です。水に濡らすと鮮やかな緑色が際立ちます。海の底からやってきた「旅人」のような石です。

〜 火成岩(かせいがん) 〜
杏仁状玄武岩 Amygdaloidal Basalt レア度 ★★★★★
見分けポイント
  • 黒い石に白い丸いつぶが見える
  • アーモンドのような楕円形の斑点が特徴
杏仁状玄武岩

Photo:KATACHI

地表面で冷えたマグマが、様々な鉱石を取り込んだ岩石です。マグマの気泡の穴に白い鉱物が入り込んで固まった、独特の模様が特徴。多摩川流域では最もレアな石のひとつで、見つけたらとてもラッキーです。

石英閃緑岩 Quartz Diorite レア度 ★★★☆☆
見分けポイント
  • 重い
  • 白と黒のマダラ模様
  • 光にかざすとキラキラする
  • 透明や黒色の粒が砂粒よりも大きい
石英閃緑岩

Photo:KATACHI

地下深くのマグマが、様々な鉱石を取り込みながらゆっくり冷えてできた岩石です。「白黒ごま塩おにぎり」のような見た目が特徴。光にかざすとキラキラと輝きます。

閃緑岩 Diorite レア度 ★★★☆☆
見分けポイント
  • 重い
  • 白と黒のマダラ模様だけど、黒色多め
  • 光にかざすとキラキラする
  • 透明や黒色の粒が砂粒よりも大きい
閃緑岩

Photo:KATACHI

石英閃緑岩と似ていますが、透明な石英の粒がやや少なく、やや黒っぽく見えます。同じく地下深くのマグマが冷えてできた岩石で、奥多摩〜丹沢周辺がふるさとと考えられています。

〜 番外編:鉱物 〜
石英 Quartz レア度 ★★★★☆
見分けポイント
  • 白〜淡いクリーム色
  • 水で濡らすとテカテカする
  • ライトを透過して光る
石英

Photo:KATACHI

石英の主成分は二酸化ケイ素。結晶が大きく形が見えるものを「水晶(クリスタル)」、細かく集まり粒が見えないものを「玉髄(カルセドニー)」と呼びます。光を通す半透明の白さが美しく、子どもたちにも大人気です。

似てるけど違う「鉱物」と「岩石」

鉱物と岩石の違いを示す図解

鉱物が集まって岩石になる

「鉱物」は、同じ成分と決まった形をもつ"ひとつの材料"です。たとえば「石英」は、石英という1種類の鉱物だけでできています。

一方「岩石」は、その鉱物がいくつか集まってできた"かたまり"です。「花崗岩や閃緑岩」のように、白や黒など、いくつもの鉱物が組み合わさってできています。

つまり、鉱物が集まって岩石になるのです。

拾った石の種類を調べてみよう

石の見分け方フローチャート

石の種類を調べるときのフローチャート

🔵 Step1:色のちがい

まずは、見つけた石を水で濡らしてみましょう。乾いていると白っぽく見える石も、本来の色がはっきりします。

☀️ Step2:太陽にかざしてみる

キラキラ光る粒(黒や透明、白色)はあるか探してみましょう。光る粒がある石は、岩石を形づくる小さな鉱石が入っています。

🔬 Step3:石の中の「つぶ」を見る

丸い小石がたくさん入っている・砂が固まったように見える・細かすぎてつぶが見えない——こうした違いも、石を見分ける大きなヒントになります。

石のふるさとを調べてみよう

多摩川流域の地質図

多摩川流域の石のふるさと

地質図を分析してみると、多摩川の上流域(奥多摩周辺)には、昔の海の地層が集まってできた岩石が広がっていることがわかります。

奥多摩周辺に多い岩石

・チャート・石灰岩・緑色岩(変成岩)

はるか昔の海底でできた岩石が、プレートの動きによって押し上げられ、山になったものです。

火山由来の石

・杏仁状玄武岩

多摩川流域の西側、山梨県側には火山があります(富士山など)。こうした火山活動によって生まれる岩石のひとつが玄武岩です。

深い地下でできた岩石

・石英閃緑岩・閃緑岩

さらに山奥には、地下深くでマグマがゆっくり冷えてできた岩石もあります。奥多摩〜丹沢周辺がそのふるさとと考えられています。

河原の石が丸いのはなぜ?

多摩川の上流にあった岩石は、川を流れていくうちに少しずつ削られ、形が変わっていきます。中流〜下流では、石どうしがぶつかり、角が少しずつけずれていくため、石はだんだん丸くなります。

そして、かたい石ほど下流まで流れて残りやすいという特徴があります。とてもかたいチャートやホルンフェルスは下流でも見つかりやすく、やわらかい泥岩はこわれて小さくなりやすい石です。

丸い石ほど、長い川の旅をしてきたかもしれません。

🌿 まとめ:河川敷は、いわば「地球の博物館」

河原に転がっている石は、ただの石ころではありません。奥多摩の山で生まれた石、海の底でできた石、火山のマグマから生まれた石——それぞれが長い時間をかけて川を流れ、多摩川の河原にたどり着いています。

次に多摩川を歩くときは、ぜひ足元の石にも目を向けてみてください。お気に入りの一石が見つかるかもしれません♪

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